30年モノのウインチが蘇る!重くて回らない原因と分解メンテナンス

クルーザーヨットに乗っていると、ある日ふと気づきます。
「最近、ウインチが重いな…」
ジブシートを巻くとき、メインセールをトリムするとき、以前より明らかに回転が渋い。力を入れないと回らない。そんな違和感を感じたことはありませんか?
今回は、30年以上使用している愛艇クルーザーヨットのジブ用・メインセール用ウインチを分解し、徹底的にメンテナンスしました。
その結果――驚くほど軽く、滑らかな回転が蘇ったのです。
この記事では、実際の作業内容と、ウインチが重くなる原因、そしてメンテナンス後の変化について詳しく解説します。
ウインチが重くなる原因とは?

ヨットのウインチは、潮風・塩分・砂・紫外線など、過酷な環境に常にさらされています。とくにメンテナンスを長期間行っていない場合、以下のような問題が起きやすくなります。
- 古いグリスの固着
- 塩分や砂の蓄積
- ベアリング内部の汚れ
- ラチェット機構の動作不良
ウインチは単純に見えて、内部には複数のギアやベアリング、スプリングなどが組み込まれています。古いグリスが固まると、摩擦抵抗が大きくなり、回転が重くなるのです。
今回分解したウインチも、見た目は問題なさそうでしたが、内部には変質したグリスと汚れが蓄積していました。
実際の分解メンテナンス手順
愛艇のウインチは、イギリスLEWMAR製ウインチで30年選手です。
すでにメーカーでは生産終了となっており、万が一故障してもパーツは手に入らないため、慎重に扱う必要がありました。
実際の分解の様子は動画で詳しくご覧いただけます。
パーツの動きや外し方は、映像の方が分かりやすい部分もあります。
▶ 30年使用ウインチの分解メンテナンス動画はこちら
① 分解前の準備
まずはウインチ上部の固定ネジを外します。作業時の最大の注意点は「パーツを紛失しないこと」。特に小さなスプリングや爪(ポール)は飛びやすいため、慎重に作業します。
分解したパーツ類を紛失しないようトレーを準備することをお勧めします。
また、パーツを外すごとに順番を確認し、最初の設定ポジションなどを写真を撮っておくと再組立がスムーズです。
② パーツの状態確認
分解してみると、内部のギアには黒ずんだ古いグリスがこびりついていました。ベアリング部分にも汚れが溜まり、本来の滑らかさは失われていました。
外観だけでは劣化は分かりにくいものの、回転のスムーズさは確実に損なわれています。
③ 清掃作業

ワイヤーブラシを使用して古いグリスを丁寧に除去し、各パーツを洗浄します。
表面上の汚れを落としたあと、灯油を使用して歯ブラシやウエスで細部まで汚れを落とします。
灯油は強力な脱脂・洗浄力を持つため、ギアなど機械部品の頑固なグリス・油汚れの洗浄に最適です。
この工程が最も重要です。汚れを残したまま新しいグリスを塗ると、逆効果になることもあります。
④ グリスアップ

清掃後、適量のグリスを塗布します。ポイントは「塗りすぎないこと」。
- ギア部:薄く均一に
- ベアリング部:軽くなじませる程度
- ラチェット部:過剰塗布はNG
塗りすぎると抵抗が増え、かえって重くなる場合があります。
今回、用意したグリスは、Lewmar ウインチグリース 3.5オンスチューブ、Amazonで4,000円程度で購入できました。
大容量サイズはこちら。
⑤ 再組立
分解時の写真を確認しながら、慎重に組み立てます。ポールの向きやスプリング位置を間違えると正常に動作しません。
組み立て後、手で軽く回して動作確認を行います。
ウインチメンテナンス作業で必要なもの
今回のメンテナンスで準備したものをまとめてみました。
- プラスドライバー
- ピックツール
- ウエス
- ワイヤーブラシ
- 歯ブラシ(灯油洗浄用)
- 小物を紛失しないためのトレイ
- 灯油
- LEWMARウインチグリース
メンテナンス後の変化

正直に言って、回した瞬間に違いが分かりました。
指先で軽く押すだけで、スムーズに回転するのです。以前は力を込めて回していたウインチが、まるで新品のように軽やかになりました。
その後、実際にセーリングに出て確認しました。
メインセールのトリムが格段に楽になり、ジブシートの調整も繊細に行えるようになりました。ウインチ操作が軽いだけで、セーリング全体の快適さが大きく向上します。
整備すると、セーリングの質が一段と変わったのを実感しました。
ウインチメンテナンスの頻度は?
一般的には年1回のメンテナンスが推奨されます。
- 頻繁にセーリングする場合:年2回
- レース志向の方:シーズン前後で実施
- 重いと感じたら:すぐ点検
放置するとギア摩耗やパーツ破損につながる可能性もあります。
私たちのグループは、毎週のようにセーリングに出ているのでウインチの使用頻度はかなり高い方ですが、冬場はほとんど出航しない、出航頻度が少ない場合、ウインチの動きは悪くなる可能性があります。
今回は、パーツを全て分解洗浄したわけではありませんが、左右のジブ用ウインチとメインシート用ウインチをメンテナンスするのにかかった時間は約3時間程度でした。
最近、重いな、回転が悪いと感じたら、早めのメンテナンスをお勧めします。
DIYか?プロに依頼すべきか?
ウインチの分解は難易度が高い作業ではありませんが、構造理解と慎重さが必要です。
DIYに向いている方:
- 機械作業が好き
- 細かい作業が得意
- 手順を丁寧に追える
不安がある場合や高級ウインチの場合は、マリンサービス業者に依頼するのも一つの選択です。
愛艇のウインチは、30年モノウインチでしたので情報がなく同Lewmar社製の現行品の資料を参考にしたりしました。
まとめ
ウインチは、見た目では劣化が分かりにくいパーツです。
「まだ使えそう」と感じていても、内部では確実にグリスが劣化し、回転性能は少しずつ落ちています。
今回、30年使用してきたウインチを分解し、清掃とグリスアップを行ったことで、その違いははっきりと体感できました。回転は驚くほど軽くなり、シートトリムの操作性も向上。セーリングそのものが、より快適で安心できる時間へと変わりました。
ヨットのメンテナンスは、単なる整備作業ではありません。
安全性を高め、操作性を改善し、そして何より“海を楽しむ余裕”を生み出すための大切な準備です。
もし最近、ウインチが重いと感じているなら、ぜひ一度点検してみてください。必要なのは、基本的な工具と適切なグリス、そして少しの時間だけです。
整えることは、次の航海をより自由にするための一歩。
その一歩が、海での時間を確実に変えてくれます。










