自動膨張式ライフジャケットの仕組みとボンベ交換方法を解説

マリンレジャーの際に着用するライフジャケット。
2018年から小型船舶乗船時は、ライフジャケットの着用が義務化されました。

過去の海難事故の分析により、ライフジャケットの着用者の生存率は、ライフジャケット非着用者の約2倍となっていることがわかっています。

命を守るために欠かせないライフジャケットですが、中でも人気のあるのは、自動膨張式ライフジャケットです。

膨張式ライフジャケットが欲しいけど、その仕組みや使用方法について下記のような疑問を感じている人も多いのではないでしょうか?

・膨張式ライフジャケットが膨らんでしまったけど、
もう使えないの?
・ボンベ交換は自分で出来るの?

この記事では、膨張式ライフジャケットの仕組みとボンベ交換方法をわかりやすく解説、膨張式ライフジャケットに関する疑問を解決します。

膨張式ライフジャケットのボンベ交換作業をする方や、これから自動膨張ライフジャケットを購入する予定の方は、是非参考にしてください。

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自動膨張式ライフジャケットのメリット・デメリット

最初に自動膨張式ライフジャケットのメリット、デメリットを説明します。

自動膨張式ライフジャケットのメリット

・着用時に動きやすい
・収納性の良さ
・コンパクトで携帯に便利

自動膨張式ライフジャケットのデメリット

・センサーの故障・誤作動
・ガスカートリッジの交換など定期メンテナンスが必要

浮力体式のライフジャケットは、浮力体の厚みがあるため収納時に2~3倍のスペースが必要だったり、着用時も動き難く、夏は暑いなどの理由から自動膨張式に人気が集中しています。
自動膨張式ライフジャケットには、腰巻タイプや肩掛けタイプがあり、お好みで使い分けができるのもメリットです。

ライフジャケットの選び方について、別記事で解説していますので参考にしてください。

自動膨張式ライフジャケットの仕組み

ここからは、ライフジャケットが膨張するまでの仕組みについて解説します。

手動用作動索を引く又は、カートリッジ内のセンサーエレメントが水を感知する事で炭酸ガスが噴出する仕組みになっています。

センサーの代表的なメーカーには、ハルキーロバーツ社とUML社製があります。

筆者のライフジャケットにはハルキーロバーツ社製V90000(HR 6F)充気装置が採用されてしました。

下記に自動膨張の仕組みを図にしています。

①水侵入口から水が入る
②ボビンが水を検知
③カートリッジ内のバネが跳ね上がる
④ボンベに穴を開け、ガス放出
⑤気室が膨張

感知素子が水を感知した後の、ボビンの画像です。
白い粉状になっているのが感知素子です。感知素子が、一部溶けているのがわかります。

センサーのインジケーターの色を見れば、ボビン(スプール)の装着状態、使用状態がそれぞれ一目で確認できます。
ボビン(スプール)が使用済みまたは、正しく装着されていない場合はインジケーターがレッドに変わります。

筆者のインジケーターは、今回、作動済の為、レッドに変わっていますね。

未使用のボンベが正しく装着されており、且つインジケーターがグリーンであれば、使用可能。ボンベ装着が正しく完了できているか、インジケーターで必ず確認しましょう。

ボンベ交換方法

ここからは、実際にボンベの交換方法を解説していきます。

膨張した気室の空気の抜き方

落水などで膨張した気室の空気の抜き方を説明します。
排気には、補助送気管用のチューブを利用すれば簡単に空気を抜くことが出来ます。
空気を抜く際には、気室の表面を傷つけたりしないよう、注意して排出を行います。

交換用パーツの確認方法

自身のライフジャケットの交換用パーツの確認手順を解説します。
気室の前面の標示部に記載されている形式名を確認します。

標示の型式で「TK-2420RS型」であることがわかりました。

交換用パーツの費用

「TK-2420RS型」に適応した交換用ボンベキットを購入します。

「TK-2420RS型」用のボンベキットにも、ハルキーロバーツ社(HKT)とUML社(UML)の2つのメーカーのキットがあります。
ライフジャケットの、引手の形状でも判別できますので参考にしてください。


ライフジャケットのメーカー直販サイトやAmazonなどショッピングサイトで購入することが出来ます。

筆者の場合、「ハルキーロバーツ社ボンベキット 18HR 6F KIT」を購入しました。

ボンベキットの販売価格は、2,000~3,000円(税込)程度で購入可能です。

ボビンだけの購入も可能です。販売価格は、1,750円(税込)程度です。

どうしても自分ではできない、心配な場合は、ライフジャケットの製造メーカーの「点検&パーツ交換」のサービスが用意されていますので、ご利用をおすすめします。

費用は、5,000~6,000円程度で作業日数は、3週間程度かかります。
ただし、自社メーカー品のみのサービスとなり、他社製品は対応不可となっています。

参考:高階救命器具株式会社

購入したハルキーロバーツ社製の交換キットが届きました。

内容物は下記の3点です。
・交換用ボンベ
・インジケータークリップ
・ボビン(スプール)

自身のライフジャケットに適合する商品であることを確認できました。
商品パッケージの裏面には、取り替え手順の説明書が添付されていました。

では、ボンベ交換手順を解説します。

新しいボンベの取付手順

①作動済のボンベを取り外す。
②作動済のセンサーを外す。
③クリアキャップからボビンを取り外す。
④手動用のロックピンが外れている場合、ロックピンを取りつける。
⑤ボビンの白い面が見えるように充てん装置にセットする。
(レールにぴったりとハマります。逆向きではセット出来ません。)
⑥クリアキャップを取り付ける。キャップ底部が赤から緑に変われば取付完了。
⑦未使用のボンベを取り付ける。(増し締めで固定)

各パーツを取り外します。

センサー周りに付着したボビンの感知素子の残りカスは、水で洗浄して良く乾燥させます。
水分が残っているとセンサーの誤作動の原因となりますので注意しましょう。

レールにスライドさせて、ボビンの向き(白い方が見えるように)を確認してセットします。逆向きには、セット出来ない構造になっています。

クリアキャップとボンベを取付けて、インジケーターが緑になっていればセット完了です。

首掛けタイプ・充てん装置:ハルキーロバーツ(HR)製/高階救命器具 ブルーストーム

動画:Bluestorm公式チャンネル

ボンベに使用期限はあるの?

膨張式ライフジャケットのボンベの使用期限はありません。
ボンベの封版に穴が空いていないか、サビが発生していないか、確認しましょう。
水を感知するセンサー(ボビン)には使用期限があります。

ボビン本体にも有効期限が刻印されています。
ハルキーロバーツ社製 ボビン(スプール) ボビンの表示です。

小さくて見にくいですが、このボビン有効期限は、2025年3月であることがわかります。

ボンベ交換用キットの袋にも期限のシールが貼られていますので、必ず確認しておきましょう。
また、ボビンの交換目安は、1年ということも覚えておきましょう。

ボビン交換時の日付を管理、1年程度経過したら状態を確認します。
また、定期的に、インジケータは緑色になっているか、ボンベにサビが出ていないかなど、確認を行いましょう。

雨や波しぶきで濡れても作動しないの?

「雨の中で着用していても膨張しないのか?」「波をかぶって濡れても大丈夫?」と誤作動が心配です。

結論としてはかなりの量の水がかかったとしても、誤作動することはありません。
落水してカートリッジへの水の侵入口から水が入らない限り作動しません。

ただし、ライフジャケットのお手入れ時に、水洗いするなどバケツに付けてしまったりすると、カートリッジの水の侵入口から水が入り、膨張してしまう事がありますので注意が必要です。
ライフジャケットを洗いたい場合は、気室を取り外してカバーのみを洗浄するようにしましょう。

自動膨張式ライフジャケットの保管方法

膨張式ライフジャケットが、勝手に膨張してしまう事があります。

考えられる原因は

①センサーの使用期限が切れている
②保管場所が車内や湿気の溜まるボックスなどに保管していた

膨張式ライフジャケットの保管には、保管中に水感知センサーが水を感知して、膨張するなど誤作動しないよう注意が必要です。

・雨や波しぶきで濡れた状態のまま、車内やバッグに保管しない
・船室や倉庫など、高温多湿な場所で保管しない
・使用後は、水気を拭き取り部屋干して乾燥させる
・プラスティックケースなどで保管する場合、除湿剤、除湿シートを入れて保管する

まとめ

自動膨張式ライフジャケットの仕組みとボンベキット交換方法について解説しました。

ライフジャケット着用者の生存率は、ライフジャケット非着用者の2倍と言われています。
ただ、膨張式ライフジャケットを着用しても、落水時に作動しなければ何の意味もありません。

ボンベの交換作業はとても簡単です。

自身の命を守るため、膨張式ライフジャケットの特徴を理解し、保管方法や定期メンテナンスを実施することを心掛けましょう。

以上、「自動膨張式ライフジャケットの仕組みとボンベ交換方法を解説」でした。

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